熟成酒や古酒で手に入れられるもの
      ・個性ある味わいへの対応力
      ・時を飲む、時を楽しむという大人の世界観

老いた日本酒
・・
日本酒の解脱(げだつ)

焼酎ブームも落ち着いてしまった今日。
多くの蔵元が「日本酒の追い風を感じる」といっています。

2005から2010年頃には香り芳醇系のお酒が一世を風靡していましたが、近年の傾向として食事と共に楽しめる味わい系や酸系のお酒であったり、飲み飽きのしない超辛口であったり、さらに「普通ではもの足りない」ということで、個性あるお酒を探し求めている方が大変多く生まれてきていると痛切に感じています。

そのひとつとして熟成酒、古酒などもひとつのカテゴリーとして着実にファンを獲得しているといっても良いでしょう。そんなニーズに答えるべきお酒をご紹介いたします。

確かに近年、日本酒の醸造技術の研究成果の高さから“まさかこの香りが・・この味わいが・・私たち日本人が主食としているお米からできたアルコール飲料とは思えないものが全国あちこちの蔵元から続出しています。

”果物を連想させるフルーティな香り、優雅で高貴な含み香と舌に伝わる旨さと余韻をも楽しませてくれます。

そのような香り豊かで芳醇なお酒に目を奪われがちの中で、静かな流れでありますが、これまでは一部の蔵元、酒販店、飲食店、日本酒愛好家の一部の方だけに支持されていた熟成酒や古酒も、やっと日の出を迎え市民権が得られる時代になってきました。

その証として近年多くの蔵元が熟成酒や古酒をめまぐるしくなるほどの数を世に出してきています。確かに一部の蔵元以外は、何年も、何十年も前からこの時を待ちわびて発売されたわけでもなく蔵にとどまっていたものだったと予測される代物です。(わかりやすくいうと売れ残ったお酒=なっちゃった古酒)

けれど、お酒にも人と同じように若さあふれる時だけに魅力があるわけでもなく、時間を重ねたがゆえの角がとれまろやかな口当りになり新たなるコクが生まれ、さらに酔い心地の良さや酔い冷めの良さは熟成酒、古酒でしか味わえない味覚であり体感であります。

仮にそのお酒の経歴が、売れ残ってしまい“なっちゃった古酒、熟成酒”となったとしても、その味わいにも価値があり、見出してあげることでオンリーワンの価値が新たに評価できる、される成熟した市場性が確実に生まれ育っています。

また
同じ時間を積み重ねたお酒であったとしても、かわいく育て時間の長さからは想像できないくらい味わい的に変化を感じさせないお酒とストレスを与えたからこそ反発をして味わい深く育ったお酒。人と同じように育った環境(管理温度、貯蔵方法)によってさまざまなお酒があります。

熟成酒や古酒は、独自の香りや色合い、味わいを有し
“飲み手を選ぶ”お酒であることは確かであるといえます。近年静かながらも着実に“日本酒の可能性、新たなる美味しさ”として“日本酒の熟成酒のものさし”が大きく変わりつつあります。

熟成年数による色合いの変化
当店にある古酒の色合い
本醸造14年もの(淡熟)普通酒11年物(中熟)なぞの古酒(濃熟)

《最後まで責任をもち命をまっとう(天寿)させてあげるあなたの寛容力》


日本酒は搾られた瞬間から劣化にさらされる。そして、日々瓶内で物理的、化学的変化が起こる。そしてある時期そのお酒の頂点を迎え、そして老いを日々積み重ねることになる。

そして老いを日々積み重ねていくごとに“より個性”という味わいや色合いや香りを醸し出してくる。その“個性”という味わいや色合いは,時として嫌われたり、敬遠されたり、見向きもされないようになったりもする。

そのお酒の原点を紐解けば、
米農家さんが情熱や思いを込め、汗水流して作ってくれたからこその賜物である。そんなお酒でも、最後に花を咲かせてあげたい!というより、ご縁がありあなたの元に届いたお酒です。最後まで責任をもち命をまっとう(天寿)させてあげてほしいと思います。

みなさんの手元に“どうしたらよいかわからない日本酒があるならば、是非、当店にご持参またはお問い合わせください。そのお酒、最後に花をしっかりと咲かせてあげられるようアドバイスさせていただきます。”


花人・珠寳(しゅうほう)さんも、花屋の東信(あずま・まこと)さんも、
生花の世界の中で“満開に咲いた時だけ美しさがあるのではなく、それぞれ時期に美しさが存在している。”

“若く芽吹いた時も、枯れかけた時も、枯れたあとも・・それぞれに美しさがあります。それをどういかしてあげられるか”が私たちの仕事のひとつだと・・・。

まさしくお酒の世界も同じことがいえますね。

≪熟成酒や古酒を楽しむにあたり必要な飲み手のスキル≫


熟成酒や古酒は、独自の香りや色合い、味わいを有し“飲み手を選ぶ”お酒であります。このような個性あるお酒に興味をお持ちの方でトライしてみたいという方にお伝えしたいのは、「個性に対しての向き合い方」です。

これまでの自分のものさしを固定化せず、お酒の個性に寄りそってあげられる向き合い方で楽しんでいただきたいと思います。

あなたの身の回りで味わえるビールの苦さ・ブラックコーヒーの苦さ、酸味・グレープフルーツの苦さ・ピーマンの青臭さ・タラの芽の苦さ・牛蒡の土臭さ・バジルの渋さ・バルサミコ酢の酸味・抹茶の渋さ・山椒の渋さ・発酵ものの臭さ・・・・・・俗にいわれる大人の味が“美味しさ”と理解できる舌をもっていることが大切だと感じています。

けれど、そうでない人でも楽しめることは可能大です。
店頭において、創意工夫して提供することで、たとえマヨラーの方であったとしても、日本酒になじみのない年配の女性の方でも“美味しい”と言っていただいくだけではなく、実際にお買い上げいただくこともございます。実際には
“工夫次第”ということになります。

どなた様でも“美味しい”というものさしにもっていくための
“ひきだし”というノウハウが必要で重要だということでしょうか。確かにお客様自身で、そのひきだしを探していただくことが一番かと思いますが、発見されるまでの時間と費用と労力を考えると“きっかけとなる基本のノウハウ”をお聞きしていただいた方がスムースなスタートが切れるものと思います。

けれど熟成酒や古酒に対して、これまでの間違った既成概念を取り払っていただき、素直な気持ちで、真っ白な気持ちで口にしていただくことも当店では大切な要素と捉えています。味わう前に下記の事柄について正しく理解されることが第一歩であることも知ってください。

★ラベルの製造年月日の意味と醸造年度との関係を正しく知ってください。
★酸味・渋み・苦さという味わいを“美味しい”という感じるものさしをつくってください。
★日本酒が熟成してくると段々と色合いが黄金色に変化してきます。これは、なにを表していることなのかを正しく知ってください。
★時を重ねることにより瓶の底に沈殿している澱はどういうものであるのかを正しく知ってください。


≪老香(ひねか)と熟成香≫

これまでの日本酒を評価する上で、特有の個性となった日本酒の熟成酒は低い評価とされてきました。特に最初に感じる香りについては、
 ・本来のものではない。
 ・心地よいものではない。 というものさしでした。

けれど近年、ナッツ、カラメル、漬物、醤油、干しブドウなどのような香りを有し、琥珀色に変化し、甘さも増した熟成酒は
“日本酒の新たなる美味しさとしてのものさし”で高い評価を得られるまでになり、こげ茶色や何十年という時間をかけて熟成したお酒は、ある意味類さない個性として“日本酒の解脱(げだつ)”とまで、呼ばれたりもしています。※解脱(げだつ)→ある意味仏語で、究極の目標や理想を示す言葉として使われたりしています。

それに伴い3年から5年程度の日本酒に発生する
“老香(ひねか)”の評価に対しても、近年、必ずや短所として評価されることなく定着しつつありまし、熟成香に至るまでの前駆物質としてこれからの期待感を予感される香りであり、これから時間をかけた時にどのような変化をしていくかという道しるべのような香りとして評価されています。

またお酒が持つポテンシャルを生かして「どう美味しくしようか」と考えることなく口にされず、冷たい方が好きだからということを最優先に考え、冷やして飲むということを優先させすぎている結果、余計に
老香を助長させてしまっているともいえます。

また納豆の香りひとつとったとしても、
「嫌な香り」という方もいらしゃいますが「美味しそうな香り」という方もいらっしゃいます。同じ香りでありながも評価がまるっきり正反対となります。これらは、これまでの「
味覚経験の差といってもいいかもしれませんね。

そして、日本酒は時を重ねていくことで、色、香り、味覚、口当たりは、時を重ねるごとに左から右のような変化をしていく傾向にあります。また酔い心地や酔い冷めの良さや熟成度合いによって、口にするタイミングなども移り変わっていくことはごく自然な形となります。



確かに熟成香として評価される初期に発生する老香(ひねか)”は、お酒を口に近づけることによって“多くの方が心地の良い香り”ではないでしょう。

3年から5年程度の日本酒に発生する“老香(おいか)”も時間を重ねていくうちに熟成香として変化していくこともあるということがすでに研究で認められている。


老香(おいか)は、熟成香に至るまでの前駆物質のひとつだともいえるわけです。
(大根の浅漬けが、酸っぱくて特有の香りをもつ古漬けになる工程におけるひとつだと言えるわけです。)

上記の図にあるように時間と共に、日本酒は瓶内で化学反応を起こし多彩な物質をつくりだすことがすでに研究されて実証されつつあります。

新酒の頃の味覚成分数は
約1000種類(焼酎約80種類、ワイン約600種類)といわれ、時間を重ねることにより味覚成分が新たに瓶内化学変化をおこして新たな物質をつくっていきどんどん増えていき、香り、色合い、味わいなどが変化していき、さらにその成分が飽和状態になったとき、溶液に解けずに瓶内に固形物として沈殿していきます。これが熟成酒における澱であったりします。

またこれらの瓶内化学変化は、温度状況によっても変化し、その時新たに生まれる物質の数や成分なども変わってきます。よってすべてが冷蔵だけが“楽しめるお酒”になるわけではございません。

当店では、そのお酒の持つ資質を最大限にいかした熟成酒づくりを当店なりにしております。米のもつ底力があるものには、ストレスを与えてみたり、ストレスに耐えれないと判断すれば、味覚成分の増幅を求めず、口当たりや酔い心地や酔いざめに趣をおく熟成をさせています。

お店によっては、単に時間が経ってしまったということもあるかと思いますが、当店においては「どんなお酒になってほしいか」という目的を定めて熟成させております。同じラベルであったとしても世界でひとつの味わいのお酒かもしれません。是非、色々とお試しいただければと思います。

また同じ発酵食品である納豆、魚醤、鮒すし、なれ寿司、また、沢庵の古漬け、くさや、世界的には、ドリアン、シュール、ストレンミング、キビャック,エピキュアー、臭豆腐、ブルーチーズなどといった《臭いけど美味しい》《臭いからこそ美味しい》というような食品も、嫌な短所ではなく類さない長所の“美味しさ”としてのものさしが確立しているように、
“老香(ひねか)”も“熟成香”もようやくひとつの美味しさの指針となりつつあります。

■初心者と経験者の味覚の分布

確かに研究の分析の結果、日本酒における初心者の味覚傾向には、ある一定の傾向、
相関関係が生まれています。けれど、経験を積んでいくことによって、その傾向は、ばらつきがでてきて傾向や相関関係がないものと変化していく統計がでています。

色々な経験を積み重ねることにより、
人それぞれの嗜好に変化と個性をもたらしていくといえるのでしょう。

古酒の多方面からの分析などはなく、飲み方のご提案などはこちらから続きをお読みください。

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